免疫染色のスタンダード教科書・レファレンスといえば Dabbs！

f:id:minesot:20181116010229j:plain

【著者】David J Dabbs MD

【出版社】Elsevier

　「Dabbs」だけで通じることもあるこの超有名本の最新版。

　免疫組織化学的手法は、病理診断にとっていまやなくてはならないツールであることは論を待ちません。形態だけで診断できる領域の方が既に少ないのではないか、というほど免疫組織化学的な形質は診断に重要です。

　もちろん「ブラウン・パソロジスト」などよ揶揄されないようにするためにも、臨床情報とHEでの基本的な形態の読解力、適切な各種特殊染色を合わせて駆使し、免疫組織化学を適切に実施すること、これが重要なのは言うまでもありません。

　基本的な免疫組織化学の教科書は日本語では乏しいものの、病理と臨床の別冊など、や各臓器の書籍内の記述ではたくさんあります。

　しかし、やはり免疫組織化学で横断的に切って解説した書籍は皆無といってよく、実用診断レベルのスタンダードな教科書、レファレンスとしては本書の右にであるものはありません。

　癌の形質やサブタイプ診断、原発不明癌の推定、遺伝子異常のスクリーニング、スコアリング、予後・治療反応予測…など免疫組織化学は、もう必須であることは論を待ちません。

　遺伝子異常は形態に優越する、という方針で脳腫瘍分類が変わりましたが、それにも免疫組織化学的評価はスクリーニングとして、時に遺伝子シークエンスや転座検査の代替法としても用いられます。

　純粋な形態だけの病理は終わっているといっても間違いではないでしょう。

　そういった必須であるものである以上、標準以上の知識と正しい運用は求められるのは当然です。本書は、そのサポートにも抜群です。

　病理医必携。軽く全部目を通しておきたいところ。

　おすすめ。★★★★★ (5/5)。

病理医研究者のぼちぼち日記