病理医研究者のぼちぼち日記

病理医で研究者の著者が病理のことを中心にのんびりつづるブログ

病理学会主導のAMED事業による胃生検診断AI、実証実験へ。

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 日経メディカル(2018/11/26) に「胃生検病理診断用のAI、診療現場での検証を開始」という記事が出ていました(会員でないと読めないかもしれません)。

 

 日本病理学会秋季大会が行われていましたが、その中で2018年11月22日に記者会見が行われました。

 

 病理学会がAMED事業として開発を行っていた、病理診断用のAI技術が実用化レベルに達し、福島・徳島県の診療現場で評価実験が始まるとのことです。

 

 この事業は、AMEDに採択された「AI等の利活用を見据えた病理組織デジタル画像(P-WSI)の収集基盤整備と病理支援システム開発」という課題であり、事業名は「Japan Pathology Artificial Intelligence Diagnostics Project(JP-AID)」と言います。

 

 

 今回、学会前にプレスリリースで予告がされていました。

  ▶ JP-AIDのページ プレスリリース(平成30年11月9日)

 

実用化レベルに達した胃生検病理診断AIシステムが完成いたしましたので,ご報告の機会を設けました.広域ICT基板を用いた福島・徳島の地域病理診断ネットワークで,このAIエンジンを実装させる準備も重ねて進めています.

 

 上記日経の記事によりますと、この課題で開発した胃癌診断用のAIは、996例の診断結果付き胃生検データをもとにディープラーニングをしたようです。

 検証で、感度 93.3%、特異度 73.5%であり、病理医の診断とAIの判定の不一致率は16.2%であったとのこと。

 

 このシステムを用いて、12月中に福島県では実験を開始し、今年度中に徳島県でも開始される予定とのこと。

 

 プロジェクトの目標として現在、病理医とAIとの判定不一致率1割以下を目指しているそうです。

 

 どんどん技術が進んでいくといいですね。楽しみです。