病理医研究者のぼちぼち日記

病理医で研究者の著者が病理のことを中心にのんびりつづるブログ

献血の医師バイトについて

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 貧乏医でした。このブログでも書いていますがとにかく大学院生時代はまったくお金がありませんでした。研究だけしていたようなものなので収入がなかったんですね…。

 

 研修医、後期研修医でためたお金は大学院生と助教をしている間にほぼなくなり(5年間の年収が合計930万円に達せずでした…とほほ)、研究のわずかな空き時間にバイトをしないと食べていけない状態となりました。

 

 医師のバイトといえば、平日の日中が使えれば外来などがありますが、夜間や休日となると、当直・日当直、となります。しかし当直はきつくまた、移動時間を考えると平日にいれるのが難しいこともあります。

 

 ということで、土日にできるバイト、かつ、専門医でなくてもできるバイト、ということで大学院時代、どんなバイトができるか調べ、考えました。

 そして見つけて実際にもっともたくさん行ったのが、献血の非常勤医師のバイトです。

 

 

はたらく場所は献血ルームか献血カーが多いです

 

 

献血の問診の医師バイト

 献血は多くの人の善意によって支えられている医療のための活動ですよね。なので、この献血に関する仕事は善意を支える仕事と言えますね。

 

 医師の献血アルバイトは、献血にこられた方の問診およびその確認、適応のチェック、血圧測定、血液検査の解釈などが主な仕事になります。これらを通じて、献血を安全かつ正しく行っていただけるかを確認し、感染症などの問題を防ぐ役割も担うことになります。

 

 

仕事の内容は基本的に問診の確認

 献血をされたことのある方はわかると思いますが、献血ルームや献血カー(バス)、職場への出張献血において、すべては非常にシステマティックに行われます。

 

 基本的に事務の方と看護師さんが現場を回してくださっていますが、受付から問診までは事務の方とタッチパネルなどを用いてなされ、前回までの献血状況や初めてであるか否かなどもすべて電子的に管理されています。

 

 医師は、医師室に待機し、受付と問診入力の終わった献血者さんとお話をします。問診の内容に間違いがないか、献血していただける状況かをデータや血圧、ご本人の体調や傷の有無などを見て判断し、可否を決定します。 

 

 そして可能と判断したら、あとは血液検査と実際の献血作業は看護師さんにお任せする形になります。血液検査で異常値が出た場合などには医師が対応することになりますが、詳細は非常に細かく丁寧にマニュアルにまとめられており、手順に従うだけでよいことがほとんどになります。

 

 

 

忙しいか否か

 完全に曜日や日にち、献血ルームや出張先の状況によります。

 たとえば私がよく行っていた東京の大きな献血ルームですと、一日に110人などの問診になることもありますが、平日ですと10数人ということもあったりと、幅があります。

 

 純粋な問診が多いので、献血者さんの数によって忙しさがかわります。

 

 

たくさんの献血者さんがいると血圧測定もたくさん

 

 

難しいか否か

 難しいことは特にはなく、マニュアルに従ってしっかりと業務を行うことが重要です。手技は基本的にないので、知識を予習して臨めば専門医などがなくても十分に行うことのできる仕事内容です。

 

 

アルバイトとしての頻度はどのぐらいか

 シフトの希望を聞かれていれますので、たくさん行いたければたくさん入ることができると考えてよいと思います。指定の日数より多い場合には日赤の健康保険にも入れるなど、しっかりとした就業環境です。

 

 後に述べるように給与は正規の勤務医やそれ以上ということはありませんので、アルバイト程度に行うのがよいのかもしれません。ただし、献血のバイトをされている医師には他の夢を追っておられるかたも多く、音楽活動、旅、芸人さんなど多彩な方に出会うこともあります。

 
 

日給はどのぐらい?安い?

 献血の問診アルバイトを行う医師の日給はおおよそ 50,000円前後とされています。

 献血の医師アルバイトの実質的な労働時間は、具体的に10時スタートで1時間休憩あり、18時までなどが多いので、7時間程度であることが一般的で、時給は1万円を割ります。安価な報酬ともいえるかもしれませんが、責任の大きさや業務内容を考えれば妥当なラインであると感じます。

 

 そして、業務時間が長引いた場合にはしっかり時間外手当もでますし、交通費もばっちり支給されます。責任範囲外のことも要求されないので、非常にホワイトな職場といえると思います。

 

 

献血ルームはきれいなところが多いですね

 

 

実際の応募の仕方と採用までの流れ

 私が応募して働いていたのは東京都の日赤です。

 日本赤十字社 東京都赤十字血液センター のホームページのここに採用情報がありました。そこから応募、折り返しの連絡をいただきました。ほかの都道府県でも、日本赤十字社のページの採用情報のところに大抵情報があります

 

 その後、面接と一日の研修を受け、さまざまな説明も受けたのちに、二回ほど実地研修を受けて、正式にお仕事のスタートになります。

 

 しっかりと研修してくれますし、マニュアル類もしっかり整備されており、かつ詳細に注意事項も指導されますので、初めての方でもしっかりやれば安心して臨めると思います。

 

 

献血バイトの魅力

 まぁ退屈という方もいますが、献血の仕組みが非常によくわかり、さまざまな献血者さんとお話することができ社会勉強にもなりますし、リスクが低いけれども確実に限られた時間、安全な場所で、約束通りのお給金をもらえるという安定さもあり、よいところも多いです。


 もし暇になってしまう献血カーなどであれば、本を読んだり考え事をしたりする時間が得られる場合もありますし、呼び出されて何かを考えたり手技をするということもほぼないので(例外は迷走神経反射の方の評価や内出血時の対応などぐらいです)医師として最低限のことをきっちりできればしっかりできるというのも魅力です。


 さまざまな献血会場を見ることができるのも面白いですね。



まとめ

 献血のバイトは専門医などがなくてもでき、拘束時間はながいもののリスクは少なく土日の日中にも入れられるバイトとしてニッチかつ確実な収入源となる存在です。

 

 割がいいかといわれると、少々悪く感じることが多いかもしれませんが、献血という社会貢献的な面もあり、業務分担も徹底され、就業環境も整備され、残業代もしっかりでるホワイトでとても安定したバイトです。

 

 臨床医としての技能を大きく活かす場ではないものの、大学院生や他の活動で忙しい方などにはお勧めできるバイトかなぁと思っています。

 

 献血については直接応募をお勧めします。赤十字の方としっかり話せばサポートしつつ、丁寧に迎え入れてくれるものと思います。