病理診断での前立腺癌のグレード診断、に関する書籍を一冊紹介いたします。
The Gleason Grading System: A Complete Guide for Pathologist and Clinicians
- 作者: Jonathan I. Epstein
- 出版社/メーカー: Lippincott Williams & Wilkins
- 発売日: 2012/07/25
- メディア: Kindle版
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病理診断において、前立腺癌は癌であるか否かの診断と、ステージング、グレーディングを行います。
「Gleason grading system」は前立腺癌の形態をGleason pattern 1~5 に分類することが基本となりますが、どういう形態がその分類に当てはまるかを判別する力は、知識として概念を確実に頭にいれることと、多くの組織像をみてトレーニングすることとの両方を行わないとなかなか身につきません。
総評として、病理診断医必携の良書です。解説よし。何よりアトラスが多く、わかりやすく、美しい。読んでいくとConsensusの解釈の仕方がよくわかり、実践と組み合わせれば力になること間違いないと思います。それほど厚くなく、読み通すことも不可能ではないのもよいところ。
前立腺癌のグレーディングシステムは「Gleason grading system」(Wiki英語版)と呼ばれていますが、はじめて提唱されてから、少しずつアップデートがなされています。 本書籍は2005年 The International Society of Urological Pathology (ISUP; Webページ) の consensus に基づく「Gleason grading system」を解説したアトラスです。
本書籍は、豊富な図版で、pattern をたくさん見ることができ、それぞれの注目ポイントやピットフォール、誤解しやすいところなどまで書かれています。
アトラスひとつひとつが、練習問題のようになっていて、レジェンドに、これは4+4とか、これは4+3とか理解しながら絵を眺められるのがよいところ。
日本の前立腺癌取扱い規約も国際的な指標に準拠しておりますし、ISUP consensus による Gleason scoring の理解には一番よい書籍と思っています。
おすすめ。★★★★★(5/5)